• 左右の塔屋が外観デザインの特徴。外壁には天然素材のライムストーンを使用。明るいカラーがエレガントな雰囲気だ。

  • 吹き抜けを有する玄関ホールとリビングルームの間に、さらに吹き抜けの空間を用意。見上げる高さから掛けられた迫力あるカーテンと、クラシックなシャンデリアが印象的。

  • 玄関ホールのサーキュラー階段。ロートアイアンの装飾が優美だ。

  • ゲストのための寛ぎのリビングルーム。大理石の床とレンガの壁は重厚感のある素材だが、アイボリーを選ぶことで華やかさと清潔感を演出できる。格調高い家具との相性も良い。

  • リビングからつながるダイニングルーム。大人6人がゆったりと食事ができる広々としたスペースだ。ゲストを招いて、奥さまの手料理でもてなすことも多い。右手がキッチン。

  • 奥さまこだわりのキッチンは、デウィルズ社を使用。上質な無垢材を施したキャビネットは、高級家具レベルの美しさを誇る。天板だけでなく家電や調理機器も黒をセレクト。

  • 主寝室の床がダークブラウンなのに対し、大学生の娘さんの部屋は明るい木色を選択。より華やかな印象の部屋に。カーテン装飾も秀逸。

  • 塔屋部分で空間に広がりをもたせた主寝室。寝室に適した東側に位置。まるでホテルのスイートルームのように、ゆとりのある部屋である。

  • セカンドリビングとして使える、広さを備えたカバードポーチ。大きな屋根で雨を凌げ、天窓で採光も確保。居心地も申し分ない。

作り手と住まい手の感性が溶け合う気品に満ちた安らぎの邸宅

美しく理にかなった瀟洒な住まい

 石畳のアプローチを進むと姿を現す瀟洒な建物。両開きの玄関ドアを開けると、大理石の床からサーキュラー階段がゆったりと2階へ伸びるホールが出迎える。階段を辿って視線を上げると、シャンデリアを配した吹き抜けに圧倒され、仕切り壁に施されたロートアイアンの装飾に目を奪われる……。 畳み掛けるような美しい造形の連続がリズミカルにつながるこの邸宅は、ノアデザインによるもの。施主のTさんご夫妻はハワイで見つけた住宅誌で輸入住宅に憧れを抱き、実際に日本でも建てられると知ってから、いつかは建てたいと思っていたのだと言う。その願いが今回、最高のかたちで結実したのである。
 間取りは玄関ホールを囲むように、リビング、ダイニング、キッチン、ファミリールームが並ぶ。中でも28㎡の広さをもつキッチンには、奥さまの並々ならぬこだわりが詰まっている。まず、雑誌に載っていたキッチンの写真でイメージを伝え、ブラックとダークブラウンのシックなカラーで統一。そして壁面には余すところなく収納を設け、食品や食器、調理器具を機能的に仕舞えるようにした。さらにキッチンの隅には作業スペースを用意し、パソコンでの調べものなどにも便利に使えるようになっている。「以前の家のキッチンが狭かったので、今回はできる限り広くしたかったんです。今は本当に使いやすくて満足しています。ダイニングとの間の窓から、お客様の様子が窺えるのも便利なんですよ」と奥さま。しばしばご友人を招いて、腕をふるった料理でおもてなしされているそうだ。
 リビングの家具や調度品には上質なものを配し、ゲストにくつろいでもらいたいという心遣いが感じられる。また、家族が憩うときにはファミリールームを使用。パブリックとプライベートを振り分け、かつ回遊できる機能的な間取りである。
 さらに室内だけでなく、屋外にもこだわりを発見できる。憩いの場として十分に使えるようにカバードポーチを広くとり、その分大きくなった屋根には天窓を設けて明るさを確保した。
 美しく、理にかなった設計。Tさんご夫妻の希望を受け止め、外観、内装、間取り、装飾すべてに作り手の提案力を感じられた。

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