さまざまな要素を重ねあわせ、カナダの邸宅への憧れを形に
『スタイルカンパニー』の家づくりは、あくまでも「施主起点」である。どんなライフスタイルなのか、どんな家具を置きたいのか。ヒアリングを何度も重ね、施主の思いを、本人たちが言葉に出来ず、気づいていない部分まで掘り下げ、その場でスケッチを描きながら具体的なイメージに落とし込んでいく。
吉岡邸の場合、奥様が大学、そして卒業してからもカナダのビクトリアで暮らしていた経験をもとに、「カナディアン・カントリースタイル」という要望があった。それをベースに、木材をどう使ってカナダの邸宅らしい雰囲気にまとめるか。薪ストーブにどんな役割を持たせるかなど、細かな部分を詰めていった。
家に人が合わせるのではなく、最初に人があり、思いを形にし、快適に過ごしてもらうには、どんな家がふさわしいのかを考える。そんな流れを大切にしているという。
イメージを形にする過程で、必要なものがあれば海外から輸入し、場合によっては造作も行う。薪ストーブを置くため、背後の壁にはカルチャードストーンを、下にはスレートタイル敷いているが、これはカナダの家づくりを参考に輸入したもの。床、壁、収納扉、天井には複数の天然木材を使い、使い込んだアンティーク感を出すためのワックスを塗り込んだ。加工には手間がかかるが、理想に近づけるために、決して妥協はしない。
細かな部分へのこだわりが感じられるものの一つが、ダイニングの天井。空間のアクセントとするため、ここにだけ、赤みの強いアロマティックシダー材を使っている。主寝室は天井、床を異なるパイン材とし、加工の仕方を変えるなどのアイデアで、カナディアン・カントリースタイルの憧れが表現されているのだ。
木のぬくもりに包まれ、薪ストーブでゆらめく炎を見ながら過ごすひと時は、かけがえのない、家族の時間となっている。