みんなの夢を、1つの形に
自動車メーカーで開発の仕事をしているご主人が、アメリカ出張の際に購入した住宅プラン集が、O邸のはじまりだった。苦労したのは、クイーンアン様式をベースに、土地の形状、方角、家族3人の要望を合わせ、1つの形にまとめること。『ニットーホーム』から提案してもらったプランは20を超え、「私たちのわがままをすべて受け入れてもらい、ほんとに感謝しています」と、ご主人は笑う。
奥様が求めたのは、1日中日当たりがよく、明るいこと。リビングとダイニングの2か所を吹き抜けとして、上下の窓から光を取り入れることにこだわった。また、インテリアコーディネーターの資格をお持ちの奥様。クロスや床、カーテンの配色も一つずつ、いろんな組み合わせを検討したという。
リビングは、グランドピアノのあるスペースと仕切られるようになっているが、これはお嬢様の要望だ。声楽を習っているため、レッスンに使えるスペースが欲しかったという。将来は、リビングにお客様を招き、小さなサロンコンサートを開くことも可能な空間だ。
色づかい、インテリア、置かれている小物を含めフェミニンな空間にまとめているが、「細かなところは、妻と娘に話し合って決めさせました」とご主人。ただ、ご主人の存在感がないわけではなく、フランク・ロイド・ライトの照明が置かれ、2階には専用のホビールームがあり、ガレージも備えている。「クルマが好きで、実車をいじるのはもちろん、ミニカーやプラモデルをコレクションするのが趣味。DIYにもはまっていて、その作業はガレージで行っています」
ご主人、奥様、お嬢様。3人がそれぞれ主張しながら、それがぶつかることなく、うまく調和している印象をO邸からは受ける。この邸宅は家族が暮らしを楽しむ舞台であり、ご主人が指揮者となって奏でられるのは、世界に一つだけの、幸せのハーモニーなのだ。