• 一般的に、塔屋は正面から見て左右どちらかに配置されることが多いが、O邸の場合は中心に配置されている。ご主人がアメリカで購入した住宅建築プラン集にあったものを参考にしており、「これがいい!」と決めたのはお嬢様だった。

  • ウッドデッキとなっているアプローチ。玄関のドアはブルーをセレクト。ブルーはO邸のキーカラーだという。室内でもいろいろな箇所に使われている。ディズニーが大好きな奥様、お嬢様の好みと、海外出張の際に現地のいろんな邸宅を見る機会があったご主人の感性がうまく一致したのが、クイーンアン様式だった。外壁の色はグレーホワイトで、光の当たり方によって微妙に表情を変える。

  • 少しグレーを混ぜたホワイトのサイディングの外観にカバードポーチやブルーのドアがアクセントとなっているアプローチ。

  • 北向きのため、天井を吹き抜けにして、できるだけ明るい空間になるよう要望したリビング。窓は上下に4つずつあり、「明るさは申し分ないです」と奥様。カーテンは5m弱あり、正面の柄を基準にして、4枚の色を奥様がコーディネートしたという。

  • リビング同様に北向きだが、吹き抜け、上下に窓を配置することで日当たりのいい空間となっている。上の窓のハーフラウンド部分の形状は、アメリカのドラマから影響されたもので、ご主人が「絶対これにしたい」と強く要望した。

  • 収納、作業スペースともに充分なキッチン。リビング、ダイニングと違い、ここはメンテナンスのしやすさも考慮してクッションタイルを選んだ。色はブルーで、ダイニングのカーテンとコーディネートされている。

  • 東向きで朝日がたっぷり差し込むスペースは、奥様の要望で朝食用のモーニングヌックに。「サイズを合わせてベンチを造作していただきましたが、ベンチ下を収納にするなど、機能的なところも気に入っています」。

  • リビングから続くスペースは、グランドピアノが置かれ、引き戸で仕切るとスタジオとして利用できる。レッスンの場に使っているお嬢様は、「将来は音楽教室を開いて、子どもたちに教えられたらいいな」、そんな夢も抱いている。

  • 子ども部屋は、お嬢様が自分でプランを考えた。キーカラーは「いちばん好きな色」というエメラルドグリーンで、これを壁のクロスとカーテンに使い、家具は白を選択。全体のイメージは「プリンセスの部屋」だという。

  • ローラアシュレイのクロスと、縦縞のボーダーを組み合わせ、モダン・エレガンスをテーマにしたトイレ。カーテンは上がシルバー、下がピンクで、これもモダンとエレガンスを組み合わせたものとなっている

家族3人、幸せのハーモニーが響く邸宅

みんなの夢を、1つの形に

 自動車メーカーで開発の仕事をしているご主人が、アメリカ出張の際に購入した住宅プラン集が、O邸のはじまりだった。苦労したのは、クイーンアン様式をベースに、土地の形状、方角、家族3人の要望を合わせ、1つの形にまとめること。『ニットーホーム』から提案してもらったプランは20を超え、「私たちのわがままをすべて受け入れてもらい、ほんとに感謝しています」と、ご主人は笑う。
 奥様が求めたのは、1日中日当たりがよく、明るいこと。リビングとダイニングの2か所を吹き抜けとして、上下の窓から光を取り入れることにこだわった。また、インテリアコーディネーターの資格をお持ちの奥様。クロスや床、カーテンの配色も一つずつ、いろんな組み合わせを検討したという。
 リビングは、グランドピアノのあるスペースと仕切られるようになっているが、これはお嬢様の要望だ。声楽を習っているため、レッスンに使えるスペースが欲しかったという。将来は、リビングにお客様を招き、小さなサロンコンサートを開くことも可能な空間だ。
 色づかい、インテリア、置かれている小物を含めフェミニンな空間にまとめているが、「細かなところは、妻と娘に話し合って決めさせました」とご主人。ただ、ご主人の存在感がないわけではなく、フランク・ロイド・ライトの照明が置かれ、2階には専用のホビールームがあり、ガレージも備えている。「クルマが好きで、実車をいじるのはもちろん、ミニカーやプラモデルをコレクションするのが趣味。DIYにもはまっていて、その作業はガレージで行っています」
 ご主人、奥様、お嬢様。3人がそれぞれ主張しながら、それがぶつかることなく、うまく調和している印象をO邸からは受ける。この邸宅は家族が暮らしを楽しむ舞台であり、ご主人が指揮者となって奏でられるのは、世界に一つだけの、幸せのハーモニーなのだ。

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