• フランス・バロックに影響された曲線や装飾を持つ、豊麗なクイーンアン様式。アメリカで発展した、外壁にサイディングを用いたスタイルはより軽快な印象を与える。敷地を囲む木製のフェンスも同様にホワイトで明るく仕上げるなど、エクステリアにもセンスが光る。

  • 明るく家族を見送って、暖かく出迎えてくれるエントランス。塔屋の1階部分に設けてあり、大きな窓からいつも優しく光を取り込んでいる。

  • エントランスの廊下からリビングを見て。ドアを設けないことで光や視界を遮らず、開放感を生んでいる一方、壁のカラーリングを変えたり下がり壁を設けることで、上手にスペースを区切っている。

  • リビング脇には、上下階に伸びる階段をレイアウト。ミントグリーンとホワイトで統一するセンスは、普段から洋書を開き海外の住まいを目にしていたことによって培われた。

  • ゆとりある吹き抜けにはマービン社製の窓をセレクト。光がドライウォールに柔らかに反射して、部屋全体を優しく照らしている。

  • 普通であればドアを設置するとこををあえてオープンにし、リビングと奥のダイニングを繋ぐ。入り口にケーシングをあしらうことで部屋の区切りが生まれ、さらにさりげなく高級感も加わる。

  • 山吹色に包まれた、どこかレトロな雰囲気のダイニングスペース。家族はもちろんのこと、友人たちが来るとリビングよりもここに座って歓談していくのだそう。

  • 壁や床にタイルを貼って、華やかさを付け足したオープンキッチン。家事をしながらでもダイニングでの会話に参加することができ、食事の配膳や片付けもラクチンだとか。

  • Hさんご自慢の地下スタジオ。思い切りギターをかき鳴らし、バンド仲間と歌い、お気に入りの映像を楽しむ。地下に作ることで、防音工事のコストを抑えることに成功したという。

  • パウダールームは。ピンクと白のストライプ柄のクロスで女性らしく。ダブルシンクにして鏡を大きくしたのは、母娘が並んで支度をできるようにという配慮から。

庭の花木と美しく調和する、クイーン・アン様式の住まい

アメリカの生活に憧れたオーナーの、家族愛が詰まった居住空間

 多角形の塔屋、ラップサイディング壁にカバードポーチ。奥様の手によって綺麗に整えられたお庭にぴったりな、麗しいクイーンアン様式のH邸。幼い頃からアメリカンカルチャーが大好きだったご主人が希望した、昔ながらの北米の住まい。
「海外ドラマやバラエティ番組で見るリビングやキッチンは、子どもながらに“豊かさの象徴”として私の心に焼きついていました。そして住まいづくりを考えたとき、迷わず北米様式にしたいなと。あくまでも“北米風”ではなく」
 いくつかあるアメリカン・スタイルの中でも、Hさんが希望したのはイギリスが入植した時代にアメリカで発展したクイーン・アン様式。中世の城を思わせる多角形の塔がトレードマークの左右非対称な外観は、子供の頃からの憧れ続けていたものだった。
 そんなこだわりの家づくり、パートナーに選んだのは「フローレンスガーデン」。ただそれらしい見た目にするのでなく、窓の位置やコラムの形、数など、当時の資料をもとに正確に再現し、「北米住宅の伝統的なルールに則ってつくる」という要望を見事に叶えた。
 また、室内空間は風通しのよい家族関係を育めるようにとプランニング。1階のリビングを中心に、2階と地下までつながりを持たせ、家中どこにいても家族やゲストの気配が感じられるように仕上げた。特に1階は、バス・トイレ以外はドアをひとつも設けずオープンな空間に。
「 週末ともなれば誰かしらの友人たちが遊びにやって来ては、“ただいま”と言って家に入ってくるんです(笑)。そしてダイニングに座ってみんなで何時間もずっとおしゃべり。すごく落ち着くといって。これがこの家への最高の褒め言葉だと、私たち家族は喜んでいます」。みんながフランクに、我が家のように楽しめるというのはHさんが願っていたカタチだ。
 そして、Hさんがもうひとつこだわりたかったのが、趣味の音楽を存分に楽しむためのスタジオづくり。
「 フローレンスガーデンを選んだのは、地上階と同じ床面積で地下室がつくれるから。地下室なら音漏れの心配も少ないんです。また、主寝室も地下に作ってもらったのですが、静かなので冬眠しているかのようにぐっすりと眠られます(笑)」
 みんなでワイワイすることも、趣味に打ち込むことも、何にも邪魔されずにリラックスすることもできるH邸。「思い描いていた豊かな暮らしが、この家によって叶えられました」と、ご主人は頬を緩ませて語ってくれた。

掲載企業一覧company