去年よりも今年、今年よりも来年と、年輪を重ねて素敵さを増していく
アメリカ文化に触発され、長い間ミッドセンチュリーが大好きだったという施主のNさんは、若い頃はスタイリストとして活躍し、現在はクリエーターを統括する仕事をしている人物。多くの経験を重ね、人生の軸がしっかりと固まってきた50歳のタイミングで、Nさんは「自分のこれまでの歩み、完成の集大成としての家を建てよう」と思い立ったという。
そして完成した終の住まいは、ご覧いただけばわかる通り重厚で上質。モダンや未来的な要素は一切ない、トラディショナルなものとなった。
「いざ家のテーマを設けようとした時に、自分の好きなもの掘り下げてみようと、60年代、50もとより、30年代、20年代まで遡ってアメリカ文化や様式を調べ始めました。すると自然にイギリスをルーツとするジョージアンやビクトリアンスタイルに行き着き、その荘厳とした雰囲気にすっかり魅了されてしまったのです」
かくして当初想定していたミッドセンチュリーから方向転換し、男のわがままを徹底的に貫いた、紳士の館とも呼べる自宅が造られることになったのだ。
「クラフトメイドハウスは私のビジョンをしっかり理解してくださって、空間全体の設えはもちろん、造作家具など一つひとつ丁寧に、こだわりを持って仕上げてくださいました」
石畳のアプローチを抜け、煉瓦張りの屋敷に入場すれば、まるでラルフローレンのお店にやって来たかのような、もしくは映画の中に迷い込んでしまったかのような錯覚に陥る。そのくらいN邸はどの角度から見ても空間が計算し尽くされ、全ての部屋に隙が無い。
「それぞれに得意分野を持った職人さんは、時には私の要求に対し、いい意味で意地を張ってくれました。だからこそ結果として素敵な住まいが生まれたのだと思います。クラフトメイドハウスの名に違わぬ、魂のこもった家づくりをしていただけて感謝しています。」
家全体が仕上がるまでかかった期間は3年。施主も作り手も一丸となって造ったゆえに、設えやデザイン、家具や調度品に意味があり、それぞれに物語が秘められている。