妄想に近い理想さえ形にする力量
「私のイメージは、ぶっ飛んでいたから」
数年前を振り返り、Sさんはそう笑う。家を建てると決めたとき、盛り込みたい要素をまとめるとA4用紙10ページにもなった。最初に書かれていたのが「ホワイトハウスの威厳とモン・サン=ミシェルの優雅さ」。数社から提案を受け、Sさんご夫妻が「これだ!」と声を揃えたのが、トップメゾンのデザイン画だった。
「私はロサンゼルスで暮らしていた経験があり、向こうの邸宅に憧れがありました。そのまま形にしていたら、もっとアメリカンテイストこの家づくりは、私の生涯で最高の贅沢にしようと思っていました。海外で暮らしたり、いろんな文化に触れたりする中で少しずつ蓄積された、私という人間の価値観。思いのたけをすべて出し、それを「居心地のいい家」という形にしてくれる施工会社と出会うまでには時間がかかりましたが、その甲斐あって、見た目だけの洋風ではない、本物の輸入住宅を実現できたと思います。このかけがえのない家族のお城、住み心地は最高です。な家になったと思いますが、トップメゾンはそこに、自分たちの得意な欧州建築の要素を加えて、世界に一つの“私たちのお城”を描き、見せてくれました。契約から着工まで、土地の造成を含めて2年。そこから完成まで2年。頭の中の妄想に近いイメージが、少しずつ形になっていく過程は、感動的ですらありましたね」
象徴の一つがシアタールーム。映画が大好きなSさんは、ハリウッドのチャイニーズシアターのようなクラシカルな映画館を、家の中につくりたいとリクエストした。住宅だけでなく商業施設のデザイン要素、手法も取り入れて完成した空間は、お気に入りの場所の一つだ。 丘の上に建つお城のような邸宅だが「住み始めたときから、ずっとそこに住んでいたような居心地の良さがある」とSさん。見た目の高級感やラグジュアリーさだけでなく、本物の素材を使い、一つひとつパズルを組み合わせるように、緻密につくり込まれている空間は、住む人をやさしく包み込む。「唯一の不満は、居心地が良すぎて出不精になりそうなところ(笑)」
生涯で最高の贅沢と位置付けた家づくりは、家族への最高の贈り物になっているようだ