レンガ、大理石と天然の木材の調和が美しい
クルマ好きなら一度は憧れるだろう、ビルトインガレージのある家。N邸は、ご主人が愛するクラシックカーのためのスペースをビルトインするだけでなく、離れ的にも用意する徹底ぶりだ。しかし、主役はあくまでも人。家族が心地よくいられる空間であることを第一に考え、そこに違和感なくガレージを組み込むところから家づくりは始まった。
エントランスを中心に、三角モチーフの屋根、上下の窓、ブラケットライトがシンメトリーに配置され、外壁は輸入レンガ張り。威風堂々としたたたずまいには、輸入住宅の王道的なデザインロジックが貫かれている。室内にもレンガ、タイル、天然石が随所に使われているが、N邸の個性を際立たせているのは、天然の木材の存在感だ。
吹き抜けのエントランスホールに入ると目に飛び込んでくるのは、ハーフティンバー様式の特徴である、天井の梁と柱の木組み。以前暮らしていた日本家屋の木材を、ご主人の希望で再利用したという。この木組み、実は躯体ではない。躯体の上に装飾として施されたもので、手間もコストもかかっているが、ご主人が絶対に実現したい意匠だった。
この木材とレンガ、タイル、天然石の調和が見事。エントランスホールの床は、梁や柱と色調を合わせたイタリア産のタイルが敷いてある。リビングのシンボル的な存在である暖炉は石張りだが、梁、柱、床の木材との組み合わせが、無二の空間をつくり出す。エントランスを挟み、リビングの反対にあるショーケース的なスペースも、木製の梁、柱、窓が強く印象に残る。ここは愛車置き、外からも2階の書斎からも眺められる、贅沢な空間だ。
独特の威容を放つN邸。その背景には、ご主人の思いと、参會堂が持つ西洋建築への理解、経験、技術、デザインセンスの共鳴がある。