ずっと心に秘めていた憧れの姿
イギリス、フランス、イタリア……。新婚旅行で訪れたヨーロッパ各国で、カルチャーショックを受けた。それまで住まいに対してさほど大きな関心を持つことがなかったSさんだったが、その美しい佇まいに魅了されたそうだ。特に石張りの重厚感あるイギリスの家は、Sさんの心の琴線に触れたという。あれから約20年、輸入家具やシャンデリア、壁紙などをあしらって自分なりにコーディネートしてきたが、子どもたちが巣立ったことをきっかけに新しい住まいづくりをすることに。ヨーロッパのみならず、北米の家やインテリアにも影響を受けたSさんは、重厚さとモダンさを併せ持つカナダのブリティッシュ・コロンビア州にある都市『SURREY』で愛され続ける住まいを我が家に選んだ。
力強さの中にやさしさと懐かしさを感じさせる天然石を身に纏ったフォルムに迎えられ、扉を開けると天井高5mを超える開放的なホールが待ち受ける。広々とした空間の中でゆったりと過ごしたいと考えていたSさんの希望により、リビング・ダイニングは30帖に。折り上げ天井にもモールディングをあしらい、広い天井スペースを5つに分けてデザインすることで空間に高級感と落ち着きを与えている。
「心に描いていたイメージを、そのまま形にしました。たとえば扉も、その部屋に似合うものを一つひとつ選んで組み合わせています。
まさに私にとっての理想の住まいですね」とSさん。気の置けない友人たちを招いてワインパーティーをすることが、今の楽しみのひとつなのだとか。この住まいには、人々の笑顔という調べがゆるやかに流れている。