• 1階から3階までの壁面に、連続性のあるデザイン処理を施した外観。窓をデザイン要素として取り込み、大胆にアクセントをきかせている

  • エントランスフロアから、スキップフロアを経て2階へ。空間に連続性を持たせ、少しずつ目線の高さが変わるように設計されている

  • スキップフロアで空間をつなぐデザインを、視覚的に補完しているのが壁。普通のアーチではなく、形で次のフロアとの「つながり」を感じさせる工夫だ

  • リビングからダイニングを望む。室内の壁は、白を基調に透明感、清潔感を重視している。床のタイルには床暖房が入る

  • キッチンは北側に面しているが、天井に設けたトップライトからの採光により、明るい空間となっている。上部の内窓は子ども部屋のもの

  • 3階のホールに設けてある手洗いスペース。トイレの後、帰ってきた子どもが部屋に入る前に手を洗えるように、ここに設けた

  • 床と壁。階段のステップ、手すりもすべて白で統一されている室内で、黒いアイアンが全体を引き締める効果を果たしている

  • お客様、両親などを迎えたときに、利用してもらうための和室。全体の雰囲気になじむよう、モダンなテイストになっている

  • 子ども部屋も、天井のトップライトからの採光で明るく。窓を開けると、2階のキッチンとつながるように設計してある

  • 濃紺の面材、ブルーのストライプのクロスで、明るく清潔感のある空間となっているパウダースペース

論理的な設計が生み出す、空間と人のつながり

奥へ、上へ。少しずつ目線が移るスキップフロアを巧みに配置

1階から3階までの外壁の一部は、窓、モールディングを統一感を強調するデザイン要素として取り入れ、個性的な表情に仕立てられている邸宅。限られた敷地面積のなかで、室内は、最大限の奥行が感じられるように設計されている。
特徴的なのは、個々の空間をつなぐリズム感だ。エントランスフロアから、スキップフロアを経てリビングへ、そしてダイニングへ。階段が途切れることなく続き、少しずつ、上へ、奥へ、目線が移っていく。独特の連続性、リズム感は、この建築条件だからこそ実現できた部分であり、設計の妙、ともいえる。
室内は、壁も天井も階段も白を基調にまとめられているが、不思議と単調な印象はない。進むたびに目線が高くなるスキップフロアだけでなく、階段の手すりのゆるやかなカーブ、黒のアイアンが絶妙なアクセントとなっているためだ。センスと経験豊富な設計力と、それを形にする施工力があってこそ実現する空間、といえるだろう。
連続性、つながりは間取りにも反映されている。キッチンは吹き抜けで十分な高さがあるが、3階の子ども部屋の内窓を開けると、空間としてゆるやかにつながるようにつくられている。奥様が料理している様子が、子ども部屋からは感じられ、キッチンからひと声かければ、子ども部屋に声が届く。空間だけでなく人のつながりも生まれるのだ。
外壁が象徴するデザイン的な遊び心。スキップフロアが生み出す、論理的な空間設計。白を基調とすることで生まれるエレガントさ。そして、空間も人も有機的につながるように配置された間取り。シンプルなようでいて、要素を分解していくと、さまざまな視点から語ることができる邸宅である。

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