• 映画の舞台となった邸宅と同じように、ウインドウベンチは当初からの希望だった。両端の食器棚を含め、造作している

  • オーク材のフローリング、グレー壁、白い天井とドア、モールディングのコントラストが印象的なリビング・ダイニングスペース

  • 海外の邸宅に見られるように、エントランスホールに入ると、目の前に存在感のある階段が設置するのが希望だった

  • リビング・ダイニングスペースの照明を灯すと、造作した食器棚が存在感を増す。天井は二段の折り上げで、高さを演出する

  • 1階のトイレの前に設置した手洗いスペースで、ボウル、水栓金具などは輸入もの。タイルがデザインのアクセントに

  • 対面、アイランドではなく、奥様の希望で独立した空間となっているキッチン。明るく、収納も多く、使い勝手に満足されているという

  • 収納の面材はブルーで、邸宅外観のブルーとのコーディネートを考えた。壁は薄いグレーのストライプのクロスとなっている

  • 2階に設けられたユーティリティスペースは、洗濯物を干したり、アイロンをかけたり、奥様の「家事の基地」とも呼べる位置づけ

  • ゆとりのある設計となっているエントランスフロア。玄関を入って、左手ドアの向こうはシューズクロークとなっている

  • 1階と2階の間に、ぐるりと庇をまわしてあるラップサイディングの外観。急勾配屋根のデザインは、映画の舞台となった邸宅をモチーフにしている

海外ドラマの舞台をモチーフに、生まれた邸宅

憧れと暮らしやすさのバランスを、高いレベルで実現した

シンメトリーに規則正しく並んだ上げ下げ窓、鮮やかなブルーのラップサイディング、それを縁取るように装飾された、真っ黒なモールディングやルーバー。基本はジョージアンスタイルだが、急勾配の屋根モチーフを外観に取り入れるなど、ひと味違う個性も感じられる邸宅だ。「海外ドラマの舞台にある家」という希望をもとに、ドラマのシーン、海外の施工例などを集め、イメージを重ね合わせることで具現化したという。
憧れの対象が明確だと、施主側には盛り込みたい要素が抱えきれないほどある。でも、それをすべて取り入れていたら、空間として成り立たなくなってしまう。憧れ、理想像をヒアリングする一方で、敷地や条件のなかでの整合性、暮らしやすさ・使いやすさという点での提案を含めて整理し、どうバランスを取るか。ここがポイントだ。
この邸宅の場合、外観のデザイン、リビングスペースのウインドウベンチ、ケーシングやモールディングなどの装飾で、施主の要望を取り入れながら、居心地の良いクラシカルなホテルをイメージできるようまとめている。
一方で、フルオーダーとなるキッチンは、ダイニング・パウダースペースにつながり、機能的で使いやすい家事動線になるように配慮されている。収納は、空間の雰囲気を壊さないように、使いやすさだけでなく見た目の美しさも考え、各所に配置した。
憧れをベースに、整合性のある設計、ラグジュアリーさをプラスするデザイン、パッと見ただけでわかる、質感の高さを生み出す施工。こうした要素がまとまり、海外ドラマの世界観の中で暮らすような満足感をもたらしてくれる。
それが、わかりやすく実現した事例といえるだろう。

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