ボザール様式
BEAUX-ARTS新興国アメリカが夢見た威信あるルネッサンス建築

記念建造物的な堂々とした外観。屋根は陸屋根で、外壁面にカートーシュ(円形装飾)と、2階には1対の柱頭飾りのある柱(ピラスター)で支持されたバルコニーが設けられ、鉄の手摺子が付けられている。組石造の場合にはクオイン(隅壁石積み)が取り付けられるが、四角形の壁付柱は隅壁部分を飾っている。

新興国家であったアメリカが歴史と威信のあるデザインの建築を求める中で、建築家たちは18世紀初頭に設立されたパリのエコール・デ・ボザール(美術学校)に留学しルネッサンス建築を学び、その成果を新興国アメリカの誇るべきデザインとして建設した。
 ボザール様式は、古代ローマのヴィトルビウスの「建築十書」をルネッサンス時代にアンドレア・パラディオが復興しまとめた「建築四書」に基づくパラディアン様式と基本的に同じで、ルネッサンス建築様式を米国において実現したものである。アメリカンルネッサンスともアメリカンボザールとも呼ばれている。
 基本的に石造建築のデザインで、左右対称形を基本にして、柱のオーダーを中心に建築物の全体を基本寸法の倍数と約数とで構成した、比率の調和の取れたデザインである。建築物全体の調和と同時に、装飾として花綱飾り、盾形模様、花輪模様を壁面全体に施し、威厳のある美しさを示していることに特色があり、古代ローマ時代から現代まで、色あせない審美性を維持するデザインである。
 フランク・ロイド・ライト等の機能主義によって批判され、その後、多くのボザール様式の建築物は取り壊された。しかしボザール様式はかつて全米で人気を誇っていただけでなく、現代においても再評価されている。