シャトーエスク様式
CHATEAUESQUE華麗な装飾が目にも眩しいフランスの宮廷様式

シャトーエスク様式は、15世紀後期のフランス・ゴシック様式と16世紀イタリアン・ルネッサンス様式とが合体した様式で、フランスのシャトー(邸宅、城)のデザインをベースにして、19世紀アメリカで人気を博した。邸宅建築様式として生まれたため、基本的にその構造は組積造(石造、または構造レンガを石造風に化粧した構造)としてつくられた。急勾配の寄棟屋根や華麗な屋根飾りなどがデザインの特色で、ゴシック様式と共通した内容を多数もっている。
急勾配の寄棟屋根の屋根面には、煙突、ルーフドーマー窓などが設けられ、さらに屋根の棟、妻壁にはゴシック様式でよく見られた装飾が施され、ルーフラインが極めて複雑で華麗である。妻壁はシャトーエスク様式の最も大きな特色と言われている。この妻壁面の中央に、大きなウォールドーマー窓(壁面を立ち上げて大きな屋根裏に採光を入れる)を設け、その上部にペディメントと妻壁の頂部と裾部分に、ゴシック様式に共通の塔状の装飾を設けている。 開口部は原則的に連窓が設けられ、窓の上部に化粧のフードが付いたり、開口部前面にさまざまな形のバルコニーが設置され、各階ごとの腰帯(ベルトコース)と調和し、建物に水平のデザインを取り入れることで、権威を示すのにふさわしい落ち着いたデザインとなっている。