アーリー・ニューイングランド・コロニアル様式
EARLY NEW ENGLAND COLONIAL最初期のアメリカ移民による質素ながら機能的なハーフティンバー住宅

箱型の外観、棟中央部に煙突のある2階建てで、屋内は連続した空間で一室の奥行きが深い。ジェティと呼ばれる2階床の張り出しがあり、下見板またはシングル張り。小さなガラスを鉛でつないだガラス板を用いたケースメント・ウィンドウも特徴。急勾配の切妻屋根で、庇の出はほとんどない。玄関は縦板張り。

 17世紀初頭、イギリスから新大陸アメリカに渡った人々は、さまざまな自由を求めてやってきた。中でも、ピルグリム・ファーザーズに代表される清教徒たちは信仰の自由を求め、大西洋岸北部のニューイングランド地方にやってきたのに対し、タバコの生産など経済的な自由を求めて、肥沃な南部のバージニア地方に移民した人々もいる。自由・平等と言っても、その内容は人や集団によって多様であり、その中には互いに対立するものもある。それでも、アメリカは、つねにさまざまな意味での自由と平等を追求し続けているという点で、未来に向けて絶えず努力をしている国なのである。
 17世紀〜18世紀初頭にかけて特徴的なアーリー(初期)・ニューイングランド・コロニアル様式は、当初は清教徒を中心としたイギリスからの移民たちによるハーフティンバー住宅の様式だ。ニューイングランド地方には豊かな針葉樹林があり、イギリスではハーフティンバー構造に広葉樹が用いられていたのが、針葉樹に置き換えられた。
 レンガ建築を木に置きかえた比較的シンプルな構成で、装飾的な要素は控えめであったが、例外もある。1つは棟中央部に作られた煙突。もう1つは、ハーフティンバー構造で下の階を保護するための、2階床の突き出した軒先(ジェティ)に設けられた吊り下げ飾り(ドロップ)である。住宅はペンキ塗りされることはめったになく、簡単に油塗りか、素木のままであった。