フェデラル様式
FEDERALアメリカ独立時の気概を体現する精密さ、優雅さ、新しさを備えた様式

対称形の立面で、陸屋根には屋根手摺と棟両端に煙突がある。玄関には、パネルドアの周囲にトランザム(欄間)と側窓があり、その前にポーチコがあり、柱頭飾りのある柱で支えられ、その上部にバルコニーが設けられている。パラディアン・ウインドーを中央に、鎧戸付ダブルハング・ウインドーが対称的に設けられ、アダム様式の壁装飾を採用している。

 米国が英国との独立戦争に勝利して建国した18世紀末。文化的には必ずしも大きな対立があったわけではなかったが、母国に対する新生国家として、アイデンティティの主張が必要とされた。建物について言うなら、イングリッシュコロニアル様式を基本的に踏襲したジョージアン様式では、英国の植民地だった頃のイメージを払拭するには至らなかった。
 当時の英国では産業革命が始まり、レンガ製品の精度も高まっていた。そのため、目地は最小限に抑えることができるほどになり、全体の建築物についても、手のこんだ精度の高い洗練されたものへと移行しつつあった。そのような建築物では、世界から集めた異国文化を取り入れたインテリアを競って採用し、その中心となって活動した建築家がロバート・アダムである。英国でアダム様式と呼ばれ、そのインテリアはグロテスク(奇怪)でエキゾティック(異国風)なデザインとして人気を博した。
 この新奇なアダム様式が独立後の米国で人気となり、新しい連邦建築のデザインとして評価され、フェデラル様式と名付けられて広く採用されることになったのだった。
 ジョージアン様式との外見上の明白な違いはレンガ目地の薄さで、レンガの精度の高さに驚かされる。また、楕円形の欄間窓と装飾された側窓とをもつ玄関ドアもこの様式の特色となった。