ジョージアン様式は、イギリス人がジョージ王朝時代に理解したルネッサンス様式である。1666年のロンドン大火以降、ロンドン復興にあたり木造建築は禁止され、再建を託された建築家クリストファー・レンは、ルネッサンス様式をを広めた。イギリス各地ではこの様式の建物が貴族によりこぞって建築され、1714年に即位したジョージ王朝時代にも基本的に踏襲され、ジョージアン様式と呼ばれるようになった。
基本的に組石造という構造形式の中で生まれたデザインであることから、外壁は1、2階とも同じ位置(総2階建)としてつくられ、左右対称(シンメトリー)で柱間(ベイ)が奇数であることが特色。木造によるジョージアン様式も組石造のデザインによっている。
イギリスでもジョージ王朝までが、王侯や貴族(荘園領主やその後貿易に乗り出す都市貴族)が時代の中心を担った時代である。そのため、ジョージアン様式には威厳があり、貴族趣味の人々に、高い人気と満足を与えてきた。
広く7つの海を越えた植民地にまで、その影響はイングリッシュ・コロニアル様式として及ぶこととなる。18世紀当時イギリスの植民地だったアメリカでも、この様式の住宅が全域に建てられ、地域ごとに細かな違いはあれ、対称形の基本様式は共通して尊重されていた。