メディタレーニアン様式
MEDITERRANEANイタリア・ルネッサンス建築の偉大な感動を米国で実現した様式

対称形で、袖棟が対称に突き出ていて、その間に玄関部分が配置されている。玄関部分には半円形アーチのあるポーチコが設けられ、観音開き戸のケースメント・ウインドーには、それぞれ小屋または大屋根が被さっている。デンティル(歯型装飾)化粧剥型と腕木で支えられた軒庇が張り出した屋根には、赤瓦が使われている。

 メディタレーニアン(地中海)様式は、セカンド・イタリアン・ルネッサンス・リバイバル様式とも呼ばれる。16〜17世紀のイタリアンルネッサンス様式に倣った様式で、左右対称(シンメトリー)でつくられて、勾配のある寄棟屋根の上に赤色の屋根瓦で葺いているのが特色。また、屋根の軒の庇が化粧腕木(ブラケット)や渦巻形腕木(コンソール)によって、壁面より外に突き出した構造も特色の一つである。
 玄関部分はポーチコの外側にアーチと柱廊を設け、パラディアンウインドーの形状で構成した架構で囲って、イタリア風の特色のある空間を演出している。玄関や1階の窓は、その頂部を半円形にした例が多い。
 米国のルネッサンス様式は、フランスのエコール・デ・ボザール(美術学校)で正規のルネッサンス建築を学んだ建築家が、直接イタリアで本物を見ることで偉大な美しさに感動し、その感動とともにイタリアの建築を米国で実現するようになった様式と考えるべきである。そのため、本物のイタリアン・ルネッサンスのある地中海から持ちこんだということで、メディタレーニアン様式と呼ばれている。
 南仏からイタリアにかけての建築様式もメディタレーニアン様式と呼ばれる。現代カリフォルニアにおける同名の様式も起源は同じで、直接イタリアや南仏からの影響を受けたものである。